2013年9月6日

失敗も喜び体験になる! むぎのこの運動会

総練習でも感動の運動会前日 


園 長 今日は朝とってもお天気が良くって、ラジオ体操毎朝してるんですけどその時は秋なんですけど暑い感じの日差しでした。仕事に行く頃には雨が降り始めたという・・・変わった天気ですね。

古 家 おはようございます。そうですね、今日どんな一日になるんだろうこんなに晴れてって思ったら今出てきたら雨が降ってたので、ちょっと驚きましたね。

園 長 天気予報はこの頃当たりませんね。実は明日むぎのこの運動会なんですけれども天気はどうなるのかちょっと、これで心配になりましたね。

古 家 あまりの変わり様でちょっと気になりますね。

園 長 ね、女心と秋の空っていう・・・

古 家 私は男心と秋の空って覚えてました(笑)

園 長 そうですか!?

古 家 はい どっちが正しかったんだろう?

北 川 あれ?っていう感じですけど(笑) どちらでも秋の空は変わりやすいということですね。

園 長 ただ昨日は一日天気が良くって、総練習をむぎのこのすぐ近くの日の丸公園でさせてもらいました。でも、昨日の夜もまた雨降ったんですね。夜に雨が降って日中が天気が良いってのが最高ですけども、なんか本当にどうなるかって感じですね。

昨日は暑くて、ばばばあちゃんも日焼けしたということで・・・

古 家 総練習で帽子も被らず半袖で過ごしたら首のところが真っ赤になってしまいました。腕もかなり日に焼けましたね。

園 長 昨日はある意味運動会日和でしたね。子ども達もすっごく運動会楽しみなんですよね。

古 家 そうですよね。リレーでバトンをタッチする時の、そのバトンをもらうのに「嬉しい嬉しい、早くバトン持ってきて」っていう年長さんがいて、ほんとに感動しましたね。

園 長 ほんとに小さい2歳代の子ども達もお母さん目指して一生懸命走ってきましたね。本番の運動会ではないのだけれど、なんかやっぱり一瞬一瞬感動させてくれるっていうか・・・

古 家 えぇ、えぇ


お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、みんなで支える


園 長 むぎのこの運動会が一般の幼稚園保育園と違うところは、お母さんもしくはお父さんも一緒に全部参加するということです。

古 家 あの一生懸命走ったその先にお母さんがいて、お母さんがよくやったねって抱っこしてくれる、それがご褒美っていう運動会ですよね。

園 長 お母さんが応援してくれるっていう。お父さんお母さんがほんとに間近で、走った先には抱っこしてくれて育んでくれる。運動会そのものが子どもの育みになるような、お父さんお母さんとのいい思い出になるような、記憶に残るかどうかわからない時代なんだけどしっかり見えないところで心の宝になるような、そういう運動会にしていこうというふうに思ってます。必ず何か達成した先にはお母さんがいて抱っこしてくれるという。

古 家 あと年長さんの竹登りですね。竹の先にタンバリンがあるんですけどそこに登って行ってタンバリンをパンと叩くんです。その時に空に向かって登って行く。そしておじいちゃんおばあちゃん、もう100人以上の人たちが注目してみんなに見てもらって主人公になる。

それで、できたって事をほんとに多くの人から、その子だけに集中して目がいって、みんなに褒められてよくやったねっていう。この視線を受けて、それでやってよかったっていう気持ちを子ども達にもってもらいたいなっていうことでやってるんです。感動的ですよね、いつもその場面は。

園 長 そうですね、それは年長さんの種目ですね。2歳児から発達に合わせた、一般的にいう障害物競争みたいのを先生方が一生懸命種目を考えます。赤ちゃんだったらハイハイしてゴールとか、少し歩けるようになった子たちは歩いてお母さんたちのところに行って滑り台を登って滑り台を滑ってゴールとか。

3歳代くらいになると低い平均台を登ってジャンプしてゴロンしてゴールとか。4歳になると高い平均台ですよね。高い平均台を挑戦して登ってジャンプして、それから梯子を登ったりもしますね。5歳児になると今ばばばあちゃんが言った竹登りですね。

34年在園しているむぎのこの年長さん達を見て、年長になったらあの競技をするという憧れをその下の年少、年中さんは持ってますよね。お母さんもお父さんも来年は竹登りだっていう、それを待って年長さんを迎えるっていう感じはありますよね。

古 家 その竹はお父さんが支えてますよね。その障がいがあっても発達の筋道っていうのが運動会を見ていたらはっきりわかりますよね。

園 長 障がいがあるからやらないとかいうことではなくて、やっぱり3歳、4歳、5歳、6歳、その年齢にあったプライドがあるのでね。そのプライドに合わせた競技を先生方が一生懸命作ってます。もちろん竹登りなんかは一人でスルスルスルッて登って行ってパンってやる子もいるんですけど、先生方の手が、竹の節目、節々を支えることで上に登って行ける子もいてそれでいいんだみたいな。

その子どもにあった介助をしてそれでいいんだ、ただ、その子どもの出来るだけの力は発揮してもらう、そういうことですよね。

古 家 そうですよね。だから毎年難病のお子さんもいるんですけど、職員とかお父さんとかお母さんの支えで達成できて、そのときのお父さんとお母さんとかの表情は本当に嬉しそうですね。うちの子どももやれたんだっていう。

園 長 普段車椅子に乗っていて肢体不自由があって、竹登りなんかは本当は自分の力では難しいんですけど、それはおんなじ6歳なので一緒に挑戦しようということですね。多くの職員の手で安全を守って、肢体不自由のお子さんも高い竹の上のタンバリンをパンて叩くっていう経験をして年長の運動会を終わるというふうにしてますね。

これはお母さんが言ってたんですけど、一生のうちでもしかしたら、うちの子がこんなに高いところに登るのは最初で最後かもしれない、なかなか地上の高いところに登るっていうのは難しいので、山登りはまた別ですけど、最初で最後かもしれないっていうふうに涙したお母さんもいましたね。

古 家:そうですか・・・

園 長 今年はまた何名かの肢体不自由のお子さんも竹登りに挑戦するということで、看護師さんもいたりお医者さんもいたり万全の体制を取って事故のないように、本人がやれたって思えるような体制を取ってきたいなというふうに思ってるんです。

運動会そのものはほんとうに子どものフェスティバルなので、子どもが主人公で王様でそこで輝ける。そういうことはほんとうに年に1回。おじいちゃんおばあちゃんも来ますからね。

古 家 そうなんですよねー

園 長 私達も楽しみだし、やっぱり子ども達もほんとに楽しみにしてるって感じで、力入ってますよね。

古 家 意気込みっていうかね。ぼくもやるんだっ!! ていう。

園 長 それでもう、ぜひ、天気も良くなって・・・

古 家 そうですねー、それはほんとに。てるてる坊主でなんとか・・・

園 長 緊張のあまり不安になるお子さんもいますが、その話はまた後半にしたいと思います。


失敗も喜び体験になる運動会に


園 長 運動会ですが子ども達はとっても楽しみにしていますけども、不安で泣いちゃう子もいないわけではないですよね。それについては、どうですか、ばばばあちゃんの経験からいうと。

古 家 見た目はふざけてたり、何を考えてるかわからないような子どもでも、内面はやっぱり自分が「できるかな、できないかな、できなかったらどうしよう」、そういう気持ちがありますね。

そのときにお母さんって「え?! 練習の時やれたのにもうやれないの?!」みたいな、すごい気持ちになってしまってお母さんも落ち込む事が多いんですよね。だから私は「やれない自分もその子なんだよ、やれない気持ちも大事だよ、みんなで応援しよう」って前もって伝えてます。

ほんとは本人がやれるのは大人は知ってるんだけど、気持ちがやれない時は、そのやれない気持ちをやれるように手伝って、「今日もやれるから一緒にやろうよ」っていう、そういう態度が職員側に大切なのかなっていうふうに思ってますね。

だから、もしそのとき自力でできないまま終わったとしても、何年か経った後に「あ、あのときみんなに応援してもらってやったな」っていうね、そういう心の中に支えてもらったっていうそういう記憶が残るんじゃないかなって思いますね。

やれるかやれないかが重要じゃなくて、「自分が困ったときに支えてもらった」っていう記憶が一番大事なんじゃないかなって思うんですよね。一生懸命やれておもいっきり走るのもカッコよくて素敵だし、できないときに大人に支えてもらったっていう記憶も同じくらい大事だなって思ってるんですよね。

園 長 うーん 哲学的な話になりました(笑)

古 家 そうですか? 昔だったらこういうことは喋らなくても、なんか普通の習慣としてやってたんじゃないかなって思うんですけどね。

養老孟司さんと宮崎駿さんの対談集を読んだら、だいたい今の60歳くらいまでがそういう暮らしで、50代の人たちはそういう習慣化がされてないんじゃないかなっていうお話が載ってましたね。

園 長 やっぱり、そのやれるかやれないかっていう文化の中で50代以降は生きてるのかなって思うんですよ。

古 家 そうかもしれませんね。

園 長 かっこよくやれたっていうのはいいことだけど、崩れてしまって泣いてしまったってのは悪いことみたいな。そういうことは60代にとってはそうじゃないのが普通ですか。

古 家 そうですね。できなくってあたりまえのような。できる人って少ないから・・・ うん。

園 長 それがなぜか、私は大事にされたっていう感覚に繋がらないような子育てが広がってきてしまったんですね。

古 家 そうなんですねー だからそのね、宮崎駿さんも書いてたんですけど脳のギャップがあるって。

園 長 宮崎さんは70歳くらいでしたっけ?

古 家 72歳ですね、ちょっと前に引退宣言したんですけどね。だいたいそこら辺をどのように伝えていったら良いのかなって。だからその違いに宮崎駿さんなんかも何年か前に気づいて、あまり気づかないまま生きてしまったって。

園 長 最近出た信田さよ子さんっていうカウンセラーの本「傷つけられる人傷つく人」だったかな?の中にも、家庭ってやっぱり拠り所で、100人が自分を責めても、親が大丈夫だって言ってくれたらその子の中に自信がつくっていうお話があったんです。

もう一つは、家庭そのものが子どもがなんか居心地の良い所が機能が健全な家庭だっていうのがありました。子どもが居心地が良くなくって、親もこうじゃないとダメって、さっきの、カッコよくできたらいいけど、泣いたらダメみたいな不安が家庭の中にもあって。ちゃんとしなさいとかが強くて、子どもにとっての居心地良くないような家庭になってきてるのかなって。社会の印象も含めてね。お母さんたちが悪いとかじゃなくて。

もう一つ書かれていたのは、遠慮しすぎて「肯定、肯定」っていうのじゃなくて、ちゃんとこれやったらいけないよっていう大人の目で、きちんと伝えることが肯定なんだ。あなたは大丈夫だって言ってあげるところと、それはできないよっていう否定の中にある肯定みたいなもの、その両方の力が弱くなってしまっている。世間の見る目で子どもを見て、子どもはプレッシャーだし、でもいい悪いもなかなか伝えられない、ということでした。

宮崎駿さんとかが生きてきたその「カッコいいのもいいけど、できなくてもそれが支えてもらった良い記憶、心地良い記憶になるんだ」ということを、なんとか運動会や、発達の心配のある子を応援してる私達が、若いお母さんお父さんに伝えていきたいですね。実践でね。ほんとに実践そのものなんですよね。言葉じゃなくって実践の場でね、泣いた子どもが元気になっていく姿、私達たくさん見てるのでね。

古 家 そうですよね。


園 長 支えで喜びに繋がるというね、そういう運動会に晴れたらいいなっていうふうに思います。

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